
七十二候:雷乃収声(かみなりすなわちこえをおさむ)/季語:新米・稲刈・落穂
今年の米が出回りはじめます。
平安の主食は、米は米でも強飯(こわいい)——甑(こしき)で蒸した、たいへん固い飯でした。今のように炊いた「姫飯(ひめいい)」が主流になるのは、後の世のこと。強飯は箸で摘めるほど固く、高く盛りつけて出されます。
そしてもうひとつ。米は食べ物であると同時に、通貨でもありました。役人の給与も、寺への布施も、土地の価値も、米の量で計られる。地方官(受領)の任地の善し悪しも、要は米がどれだけ穫れるかでした。
米が実るということは、経済が回るということだったのです。だから宮中は、あれだけ稲の実りを祈りました。
新米の一膳は、千年前なら国家の関心事でした。
今日の一語 強飯(こわいい)…… 蒸した固い飯。「こわい(強い)」という形容は、この飯の固さから来ています。

