
七十二候:玄鳥去/季語:秋涼し・そぞろ寒
産養の続きです。三夜、五夜と祝いを重ね、七夜(ななや)でその子に名がつけられました。
名づけは父方が行うのが通例で、この日いちばん盛大な祝宴がひらかれます。産着が贈られ、和歌が詠まれ、祝いの品が並ぶ。七つの夜を越えたということは、この子はおそらく生きる、という判断でもありました。
ただし、ここで付いた名が生涯そのまま呼ばれるわけではありません。とくに女性は、実名(じつみょう)をみだりに人に知らせないものとされ、多くは父の官名や住まい、役職で呼ばれました。清少納言も紫式部も、本名は分かっていません。
名を知られることは、その人に力を及ぼされることに近い。そういう感覚のあった時代の話です。
日本文学の最高峰を書いた二人の名前を、私たちは知らないままでいます。
今日の一語 諱(いみな)…… 本名。「忌み名」であり、口にすることを避ける名前でした。

