
七十二候:綿柎開/季語:葡萄・葡萄棚
いま出回っているのは西洋種ですが、日本には古くから山葡萄がありました。
そして重要なのは、色の名として残っていることです。葡萄色(えびいろ)——山葡萄の熟した実のような、赤みの強い紫。「えび」と読みます。海老ではなく、葡萄。
平安の襲の色目にも、葡萄染(えびぞめ)という名があります。
日本の色名は、そのほとんどが自然のものの名前です。蘇芳(すおう)は染料の木、朽葉(くちば)は落ち葉、女郎花(おみなえし)は花、鴇色(ときいろ)は鳥の羽。
色を数値ではなく、「あれの色」で共有していた。 それが通じるということは、その「あれ」を全員が見ていたということです。
葡萄色が通じる社会は、山葡萄を知っている社会でした。
今日の一語 葡萄色(えびいろ)…… 山葡萄の実のような赤紫。平安の色名で、装束にも用いられました。

