
七十二候:菊花開/季語:秋鮭・鮭のぼる・筋子
産卵のために川をのぼる鮭。「秋味(あきあじ)」とも呼ばれ、北の地方では秋の代名詞です。
鮭は、平安の記録にも登場します。『延喜式』——朝廷の細かな規定を集めた書物——には、諸国から納められる品として鮭の名があり、乾鮭(からざけ)、楚割(すわやり/干して細く裂いたもの)、そして鮭の子(=筋子)まで記されています。
都まで運ぶには、干すか塩蔵にするしかありません。それでも、はるばる北国から鮭が運ばれていた。
『延喜式』を読むと、平安の食卓が想像よりずっと広い範囲から支えられていたことが分かります。都は、日本中から集まってくるもので出来ていました。
雅な文化は、この物流の上に乗っていたのです。
今日の一語 楚割(すわやり)…… 魚を干して細く裂いた保存食。古代の、たいへん基本的な蛋白源でした。
