
七十二候:玄鳥去/季語:燕帰る・去ぬ燕
春に来た燕が、南へ帰っていくころ。七十二候は、これを「玄鳥(げんちょう)去る」と記します。
三月に「玄鳥至(つばめきたる)」があり、半年後の今日に「玄鳥去」がある。七十二候のなかで、来ることと去ることの両方が記されている生きものは、多くありません。
来た日を覚えていたから、去る日が分かるのです。誰かが半年前の到来を記憶していて、いなくなったことに気づいた。当たり前のようですが、注意を持続させていなければできないことです。
燕は何も言わずに去ります。ある日ふと、いないことに気づく。その気づきに名前を与えて、暦に残した。
去ることを暦に書き入れる文化を、私たちは持っています。
今日の一語 玄鳥(げんちょう)…… 燕の異名。「玄」は黒。黒い鳥、という素朴な名です。

