
七十二候:鶺鴒鳴/季語:秋の色・紅葉かつ散る
平安の装いの要は、重ねた衣の端に見える色の順でした。襲(かさね)の色目といいます。季節ごとに配色が決まっていて、その季節に合わない色目を着ることは、季節を読み違えたことになります。
秋の色目には、たとえば「紅葉(もみじ)」——表が朽葉(くちば)、裏が黄。「女郎花(おみなえし)」——表が経(たて)青・緯(よこ)黄で、光の当たり方で色が変わる。「萩」——表が蘇芳(すおう)、裏が青。
大切なのは、少し先の季節を着るということです。紅葉してから紅葉の色目を着るのでは、遅い。季節を追いかけるのではなく、半歩先に置く。装いが季節に「間に合っている」とは、そういうことでした。
九月は、まだ紅葉していない野に、紅葉の色をまとう月です。
今日の一語 襲(かさね)の色目…… 重ねた衣の表裏・上下が作る配色。名前はすべて自然のもの(萩・女郎花・紅葉・氷)から採られています。

