
七十二候:玄鳥去/季語:秋彼岸・彼岸花
まもなくお彼岸です。この機会に、「彼岸」という言葉そのものを見ておきます。
彼岸は、到彼岸(とうひがん)の略。梵語(サンスクリット)の波羅蜜多(はらみた/pāramitā)を漢語に訳したものです。迷いのこちら岸から、悟りの向こう岸へ渡る、という意味。
『般若心経』の正しい題は『摩訶般若波羅蜜多心経』——大いなる(摩訶)智慧(般若)によって彼岸へ到る(波羅蜜多)教えの心髄、ということになります。あの短いお経の題そのものが、彼岸の説明なのです。
そして日本では、これが先祖を思う期間として定着しました。教義としては渡る側の話なのに、実際には迎える側の行事になった。
言葉が土地に馴染むというのは、こういうことなのだと思います。
今日の一語 波羅蜜多(はらみた)…… 「彼岸に到る」。彼岸という日本の行事名は、この梵語から来ています。

