
七十二候:玄鳥去/季語:夜長・燈火親しむ
秋の夜が長くなってきました。平安の夜は、何で照らされていたのでしょう。
大殿油(おおとなぶら)——油皿に灯芯を浮かべ、灯台に載せた灯り。紙燭(しそく)——松の細い棒の先に紙を巻いて火をつけた、手に持てる灯り。庭には篝火(かがりび)。
いずれも、たいへん暗いものでした。だからこそ、平安の物語では夜に人違いが起こり、几帳の陰の人が誰か分からず、文(ふみ)は明るいうちに読むものだったのです。
「燈火親しむべし」という言葉は、韓愈(かんゆ)の漢詩から来ています。秋は涼しく夜が長いから、灯りのもとで書物を読むのによい、と。
千年前の人にとって、灯りのもとで読める夜は、贈り物のようなものでした。
今日の一語 燈火親(とうかした)しむ…… 秋の夜、灯りのもとで読書に向かうこと。読書の秋の語源です。
