
七十二候:草露白/季語:栗・新栗・毬(いが)
秋の実りのなかで、栗はいちばん古い付き合いのひとつです。縄文の遺跡から大量に出てきますし、平安の貴族も食べていました。
当時の栗は、干した搗栗(かちぐり)が主。臼で搗いて皮を取り、干して保存する。この「搗(か)ち」が「勝ち」に通じるとして、のちに武家の縁起物になります。
平安の甘味は、たいへん貴重でした。砂糖はほとんど手に入らず、甘葛(あまづら)——蔦の樹液を煮詰めたもの——が最上の甘味料です。蔦を刈り、樹液を集め、煮詰める。手間のわりに、ほんのわずかしか採れません。宮中への献上品であり、薬でもありました。
栗の甘さは、そのままで甘い数少ないものでした。
今日の一語 甘葛(あまづら)…… 蔦の樹液を煮詰めた古代の甘味料。砂糖以前の、いちばん贅沢な甘さです。

