
七十二候:草露白/季語:重陽・菊の節句・菊酒
九は陽の数。それが重なる九月九日を、めでたい日として菊を愛でます。五節句(人日・上巳・端午・七夕・重陽)の、最後のひとつです。
宮中では菊花の宴がひらかれました。菊を浮かべた酒を酌み、漢詩を作り、詩を披講する。菊は中国で不老長寿の霊草とされ、その思想がそのまま宮廷に入ってきたのです。
面白いのは、この日をもって扇を納める習わしがあったこと。夏のあいだ手放さなかった扇を、今日で終わりにする。季節の道具に「最後の日」を決めておくのです。
現代では五節句のなかで重陽だけが忘れられました。桃も菖蒲も七夕も残ったのに、菊だけが落ちた。理由は、旧暦から新暦に移ったとき、九月九日にはまだ菊が咲いていなかったからです。
今日の一語 重陽(ちょうよう)…… 陽の数(奇数)の極みである九が重なる日。「重九(ちょうきゅう)」ともいいます。
