
七十二候:綿柎開/季語:納涼・夕涼み・水の音
寝殿造には、池に張り出した建物がありました。釣殿です。
三方が開いていて、床の下はすぐ水。ここで涼をとり、宴をひらき、月を見て、舟を出す。 夏のための場所です。
そして庭には遣水(やりみず)——庭を細く流れる水路が通してあります。水が流れる音を、部屋まで届かせるためです。
つまり平安の避暑は、水の近くに座り、水の音を聞くことでした。冷やす道具がないので、涼しさは音と、目に見えるもので作る。
打ち水も、風鈴も、簾も、同じ考え方の上にあります。温度を下げるのではなく、涼しいと感じさせるものを、まわりに置く。
九月五日に、その室礼(しつらい)を秋のものへ替える話をします。
今日の一語 遣水(やりみず)…… 庭に引き入れて流す細い水路。音と景色のために作られました。

