
七十二候:綿柎開/季語:瓜・真桑瓜・冷し瓜
平安の夏の果物といえば、まず瓜です。
甜瓜(まくわうり)——今のメロンの仲間で、当時いちばん親しまれた果物でした。井戸や川で冷やして食べる。『枕草子』にも瓜は出てきますし、遺跡からは大量の瓜の種が出土します。
面白いのは、清少納言が「うつくしきもの(かわいらしいもの)」の段で、瓜に描いた童(わらべ)の顔を挙げていることです。瓜の表面に顔を描いて遊んでいた。千年前の子どもの落書きが、随筆に残っている。
そして「瓜」の字は、意外なところに残っています。瓜実顔(うりざねがお)——瓜の種のような、面長で整った顔立ち。平安の美人の条件のひとつでした。
食べ物の名が、美しさの基準になっている。よほど身近だったということです。
今日の一語 瓜実顔(うりざねがお)…… 瓜の種のような面長の顔。王朝の美人を言い表す言葉でした。

