
七十二候:鶺鴒鳴/季語:鶺鴒・石叩き
水辺で、長い尾を上下に振りながら歩く鳥。鶺鴒(せきれい)です。尾で石を叩くように見えることから「石叩き」とも呼ばれます。
この鳥には、たいへん古い言い伝えがあります。『日本書紀』で、イザナギとイザナミが夫婦の交わりを知らなかったとき、鶺鴒が尾を振るのを見て教えられた、と。そのため鶺鴒は「恋教え鳥(こいおしえどり)」「嫁教え鳥」とも呼ばれ、婚礼の儀式に結びついてきました。
日本最古の書物に、鳥に教わったと書いてある。この、まったく気取らないところが、私は好きです。神話の登場人物が、水辺の小鳥をじっと見て学んでいる。
秋の候の名に、この鳥が選ばれているのも、うれしいことです。
今日の一語 恋教え鳥(こいおしえどり)…… 鶺鴒の異名。神話に由来する、日本語でもっとも古い恋の言葉のひとつです。

