
七十二候:綿柎開/季語:夏衣・単衣・薄物
平安の夏は、どんな衣で過ごしたのでしょう。
答えは生絹(すずし)です。繭から取ったままの、練っていない絹。糊のような成分(セリシン)が残っているので、張りがあり、透けて、涼しい。 練った絹(練絹=ねりぎぬ)は柔らかく光沢がありますが、夏には向きません。
同じ絹を、練るか練らないかで夏冬に使い分ける。
そして夏は、枚数を減らします。 冬が重ねることで暖を取るなら、夏は減らすことで涼を取る。単(ひとえ)だけになり、下の色が透ける。
透けることを計算に入れた重ね方があったということです。冬の襲の色目が「端に見える色」なら、夏の色目は「透けて見える色」。
九月十三日に、秋の襲の色目のお話をします。
今日の一語 生絹(すずし)…… 練っていない絹。「涼し」に通じる音が、そのまま名前になっています。

