9月8日|被綿(きせわた)── 重陽の前夜

被綿

七十二候:草露白/季語:着せ綿・菊の露

明日の重陽にそなえて、今夜すべきことがあります。

菊の花に、真綿をかぶせておくのです。被綿(きせわた)といいます。一晩かけて菊の香と夜露を吸わせた綿で、翌朝、顔や体を拭う。そうすると老いを拭い去り、齢(よわい)を延ばすといわれました。

紫式部も、道長の北の方・倫子(りんし)からこの被綿を贈られています。『紫式部日記』にその日のことが書かれ、歌も残されました。菊の露に触れて少し若やぐくらいにして、千年の齢は花の持ち主であるあなたにお譲りします——たいへんな返し方です。

香りを一晩かけて綿に移し、それで肌を拭う。ずいぶん手のかかる長寿の願い方ですが、手がかかることそのものが、祈りの中身でもありました。

今日の一語 被綿(きせわた)…… 重陽の前夜、菊にかぶせる真綿。翌朝それで身を拭って長寿を願いました。

七日ぶんを、火曜の朝に。

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