
七十二候:水始涸/季語:稲刈・落穂・刈田
田の水を落とすころ。稲刈りにそなえて、水を抜くのです。
七十二候のなかでも、これは珍しい候です。自然が枯らすのではなく、人が水を落とす。人の手の仕事が、そのまま暦の名前になっています。
七十二候はもともと中国で作られ、日本の風土に合わせて何度も作り替えられました。だから日本の候には、日本の暮らしが混じっています。田の水を落とす、という農作業が季節の名になるのは、そういう改訂の跡です。
水を張った田は、春から半年、光を映してきました。それが今日、鏡でなくなる。
刈田になった風景は、少し寂しいものです。けれど水が落ちてはじめて、稲は刈れます。終わりの支度は、たいてい少し寂しい形をしています。
今日の一語 刈田(かりた)…… 稲を刈ったあとの田。切株の残る風景そのものが、秋の季語です。

