
七十二候:蟄虫坏戸/季語:虫の穴入り・秋深し
虫が土にもぐり、入口を塞ぐころ。
三月に「蟄虫啓戸(すごもりむしとをひらく)」があり、半年後の今日、同じ虫が戸を閉じます。啓(ひら)くと坏(ふさ)ぐ。七十二候は、この対をわざわざ用意しました。
半年前にあれほど賑やかだった庭が、静かになっていきます。燕は去り、虫は潜り、草は枯れる。
けれど「戸を塞ぐ」という言い方に注目してください。終わったとは言っていません。 戸を閉めただけです。戸は、また開けられる。
去るものの記述に、必ず戻ってくる余地を残しておく。七十二候の書き方には、そういう癖があります。
九月も、あと二日。
今日の一語 蟄(ちつ)…… 虫が土にこもること。「啓蟄(けいちつ)」は、そのこもった虫が出てくる春の節気です。
