
七十二候:霜始降/季語:夜寒・衾・寝覚
平安の人は、何をかけて寝ていたのでしょう。
答えは、衣です。夜具らしい夜具は、まだありません。昼に着ていた装束を脱ぎ、それをそのまま体の上に掛けて寝る。掛けるための衣を衾(ふすま)といいました。今の「襖(ふすま)」は、この衾に由来するといわれます。
寒ければ、掛ける衣を増やす。だから冬の装束が厚く重くなるのは、美意識である前に、まず生きるための必要でした。襲(かさね)の色目の美しさは、寒さと隣り合わせで生まれたものです。
そして寝るときも、身分の高い人は装束を全部は脱ぎません。単(ひとえ)のまま横になる。
着るものと寝るものが、まだ分かれていなかった。 衣というものの重さが、今とはまるで違います。
今日の一語 衾(ふすま)…… 掛けて寝るための衣。夜具の祖先であり、今の「襖」の語源でもあります。
