
七十二候:天地始粛/季語:秋涼し・夜の秋
八月最後の候です。「粛」は、縮む、鎮まる、という字。天地の暑さが、ようやく鎮まりはじめる。
七十二候の言葉づかいで、私がいつも感心するのはここです。「涼しくなる」とは書きません。「粛(しゅく)す」——静まる、と書く。
暑さが去るのではなく、騒がしかったものが静かになる。 夏を、うるさいものとして捉えているわけです。
たしかに夏は、蟬が鳴き、雷が鳴り、夕立が来て、光が強い。音と光の季節です。それが収まっていく。
九月二十二日ごろの候は「雷乃収声(かみなりすなわちこえをおさむ)」——雷が声を収める。こちらも同じ発想です。
秋とは、静かになること。 七十二候はそう言っています。
今日の一語 粛(しゅく)す…… 静まる、引き締まる。「粛々と」の粛です。

