
七十二候:鴻雁来/季語:柿・熟柿・木守柿
日本の秋の色、といえばこの実でしょう。学名にも Diospyros kaki と、日本語がそのまま入っています。
平安の貴族も柿を食べていました。当時の甘味は貴重で、そのままで甘いものは限られています。柿は、その数少ないひとつでした。干柿にすれば、さらに甘くなり、長く保つ。
面白いのは木守柿(きもりがき)という習わしです。収穫のとき、木のてっぺんに実をひとつだけ残しておく。来年もよく実るように、あるいは鳥のために、といわれます。
全部は採らない。ひとつ残す。
合理では説明しきれない習慣ですが、こういうものを持っている暮らしのほうが、たぶん長く続きます。取り尽くさないことを形にしておく、という知恵です。
今日の一語 木守(きもり)…… 木に残しておくひとつの実。「こもり」「きまもり」とも読みます。
