
七十二候:蟄虫坏戸/季語:長月尽・行く秋
九月の和名は長月(ながつき)。夜長月(よながづき)の略、という説がよく知られています。夜が長くなる月だから、と。
ほかにも、稲を刈る稲刈月(いねかりづき)から、長雨の降る長雨月(ながめづき)から、という説もあり、実のところ定まってはいません。
けれど「夜が長い月」が最も広く受け入れられてきたのは、人がその意味を選んだからでしょう。語源とは、正しさの記録であると同時に、その言葉に何を託したいかの記録でもあります。
夜が長いことを、不便ではなく名前にした。灯りのもとで読み、虫を聞き、月を見て、香を焚く——長い夜は、当時の人にとって、使い道のたくさんある時間でした。
明日から神無月。神々が出雲へ発つ月です。
今日の一語 長月尽(ながつきじん)…… 九月の最終日を指す季語。月が尽きる、という言い方が美しいと思います。

