
七十二候:天地始粛/季語:秋の風・夜長
寝殿造に壁がないことは、この便りで何度も申し上げることになります。では、外との境には何があったのか。
蔀です。格子に板を張った戸で、上へ跳ね上げて、金具で吊る。 開けると、その部分がまるごと外になります。上半分だけを上げる「半蔀(はじとみ)」もありました。
そして遣戸(やりど)——引き戸。こちらは横に滑らせます。
つまり平安の家は、開けるか閉めるかの二択でした。今の窓のように、少し開ける、という調節がしにくい。
だから夏は、全部開ける。風は通りますが、雨も虫も入る。御簾を下ろし、几帳を立て、そこから先は布で加減する。
建具は大きく、布は細かく。 この二段構えで、平安の人は室内を調節していました。
今日の一語 半蔀(はじとみ)…… 上半分だけ跳ね上げられる蔀。謡曲の題にもなっています。

