
七十二候:蟄虫坏戸/季語:身に入む・そぞろ寒・秋の声
秋の寒さを表す日本語には、段階があります。
新涼(しんりょう)——秋のはじめの、うれしい涼しさ。そぞろ寒——なんとなく寒い。理由のない寒さ。やや寒——少し寒い。うそ寒——うっすら寒い。肌寒——肌に感じる寒さ。そして身に入(し)む——寒さが身体の内側まで届いてくる感じ。
「そぞろ寒」と「うそ寒」と「やや寒」を、私たちは全部持っています。どれも「少し寒い」ことに変わりはないのに、三つとも消えずに残った。
言葉の数は、その季節をどれだけ細かく見ていたかの記録です。寒いという一語で済ませなかったから、これだけの言葉が残りました。
そして「身に入む」は、寒さの語でありながら、心の底まで沁みてくるものにも使われます。
今日の一語 身に入(し)む…… 秋の冷えが身体の奥まで届くこと。転じて、しみじみと心に沁みることにも使います。
