
七十二候:寒蝉鳴/季語:桃・白桃・水蜜桃
いまが盛りです。そしてこの果物は、日本でいちばん古くから魔を払うものとされてきました。
『古事記』の場面が有名です。イザナギが黄泉(よみ)の国から逃げるとき、追ってくる者たちに桃の実を三つ投げつけて退けた。 そのときイザナギは桃に「オホカムヅミノミコト」という名を与え、人々が苦しむとき助けよ、と告げます。
日本神話で、果物が神になった唯一の例といっていいでしょう。
三月三日の桃の節句も、この流れの上にあります。桃は、美味しいから供えられたのではなく、払う力があるから供えられた。
平安の記録にも桃は出てきます。ただし当時のものは小さく硬く、今のように甘くはありませんでした。
甘さは新しく、力のほうが古い。
今日の一語 オホカムヅミノミコト…… イザナギが桃に与えた神名。「大いなる神の実」の意とされます。

