
七十二候:霎時施/季語:大根・蕪・牛蒡・冬支度
霜が降りると、土の中のものが甘くなります。
大根、蕪、人参、牛蒡、里芋。霜に当たった根菜が甘いのは、凍らないように、自分の体内の糖を増やすからです。寒さから身を守ろうとした結果が、そのまま甘みになる。冬野菜のおいしさは、野菜自身の必死さの副産物なのですね。
平安の膳にも、蕪や大根、芋は上がっていました。ただし多くは羹(あつもの=汁物)、漬けたもの、干したもの。生のまま囓(かじ)る発想は、あまりなかったようです。
これから冬に向けて、食卓は根のものが増えていきます。地上のものが終わり、土の中のものの季節になる。
季節が変わるとは、食べる場所が変わるということでもあります。
今日の一語 羹(あつもの)…… 熱い汁物。「羹に懲りて膾(なます)を吹く」の、あの羹です。
