
七十二候:霎時施/季語:時雨(しぐれ)・村時雨・北山時雨
小雨が、時々降るころ。この候が指しているのは、時雨(しぐれ)です。
時雨は、ただの小雨ではありません。降ったかと思うと止み、日が差したかと思うとまた降る。ひとところに長く留まらない、通り過ぎていく雨のことです。晩秋から初冬にかけて、山の際からやってきます。
京都は時雨の名所でした。北山から雲が来て、ひとしきり降って、また晴れる。「北山時雨」という言葉があるほどです。
和歌では、時雨は木の葉を染める雨とされました。時雨が降るたびに紅葉が濃くなる、と。そして同時に、涙の比喩でもあります。留まらないもの、繰り返し来るもの。
一日のうちに何度も降る雨に名前を与えた。それだけで、この季節をどれだけ見ていたかが分かります。
今日の一語 村時雨(むらしぐれ)…… ひとしきり強く降ってすぐ通り過ぎる時雨。「むら」は、群れ・まだらの意です。

