
七十二候:禾乃登(こくものすなわちみのる)/季語:初秋・秋めく
今日から一年をかけて、平安の人がどう生まれ、育ち、老い、見送られたかを、月に二、三回ずつ辿ってまいります。来年の八月に一生を終え、また九月の誕生へ還る——そういう連載です。
まずは、生まれるところから。
お産は穢(けが)れとされたため、産室は白一色にしつらえられました。几帳も、屏風も、女房たちの装束も、産着も、みな白。この世でもっとも改まった色が白だったのです。
生まれると、三夜・五夜・七夜・九夜に産養という祝宴がひらかれます。奇数の夜ごとに親族が食べ物や産着を持って集まる。医療のとぼしい時代、赤子が幾晩を越えられるかは分かりませんでした。だから一夜ごとに、越えられたことを祝ったのです。
九夜まで祝いが続くことの意味を思うと、胸が詰まります。
今日の一語 産養(うぶやしない)…… 誕生後の奇数夜ごとの祝い。「養」は、育てるより先に「生き延びさせる」の意でした。

