
七十二候:涼風至/季語:山の日・夏山・雲の峰
祝日のなかで、いちばん新しいもののひとつです。制定は平成二十八年。「山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する」——由来のない、これから作っていく祝日です。
平安の人にとって、山は少し違う場所でした。都のすぐ東と北に、東山と北山が迫っている。近いのですが、そこは人の住む場所ではありません。
山は、死者のいくところでした。鳥辺野も化野も、都のはずれの山際です。そして修行の場でもある。比叡山、高野山——俗世を離れるとは、山に入ることでした。
日常のすぐ隣に、あちら側がある。寝殿の御簾を上げれば、その山が見えている。
そういう距離感の中で、あの雅な暮らしは営まれていました。
今日の一語 山(やま)…… 平安では、単に地形ではなく「この世の外」に近い場所を指すことがありました。

