にちにちめぐり暦

9月5日|秋の室礼(しつらい)

七十二候:禾乃登/季語:秋簾(あきすだれ)・秋の風寝殿造には壁がほとんどありません。空間を区切るのは、御簾(みす)、几帳(きちょう)、屏風、衝立——すべて置いたり垂らしたりするだけの、動かせる仕切りです。だから季節ごとに、部屋そのものを「着...
にちにちめぐり暦

9月4日|禾乃登(こくものすなわちみのる)

七十二候:禾乃登/季語:稲の花・穂波「禾」は、のぎ——稲や粟の穂先にある細い毛のことです。その禾が実る、という候。稲の花をご覧になったことがあるでしょうか。ごく小さく、白く、開いているのはたった二時間ほど。しかも咲くのは晴れた日の午前中だけ...
にちにちめぐり暦

9月3日|秋刀魚(さんま)

七十二候:禾乃登/季語:秋刀魚・新秋刀魚秋の魚といえば、まずこの一尾。北の海で脂をたくわえ、南下してくる途中のものがいちばんおいしいとされます。ところが平安の貴族は、秋刀魚を知りません。都は海から遠く、運べる魚は干物か塩蔵に限られました。加...
にちにちめぐり暦

9月2日|〔平安の一生 ①〕誕生と産養(うぶやしない)

七十二候:禾乃登(こくものすなわちみのる)/季語:初秋・秋めく今日から一年をかけて、平安の人がどう生まれ、育ち、老い、見送られたかを、月に二、三回ずつ辿ってまいります。来年の八月に一生を終え、また九月の誕生へ還る——そういう連載です。まずは...
にちにちめぐり暦

9月1日|二百十日(にひゃくとおか)

七十二候:天地始粛(てんちはじめてさむし)/季語:二百十日・野分(のわき)立春から数えて二百十日目。ちょうど稲の花が咲くころに、台風がやってくる。昔の人はその一致を暦に刻みつけ、農家の厄日としました。平安では、この季節の大風を野分(のわき)...
にちにちめぐり暦

8月31日|明日から

七十二候:天地始粛/季語:八月尽・秋来る二十二日間、おつきあいくださりありがとうございました。明日から、この便りは本編に入ります。九月一日、二百十日。そして九月二日から、平安の人がどう生まれ、育ち、老い、見送られたかを、一年かけて辿ってまい...
にちにちめぐり暦

8月30日|葉月という名

七十二候:天地始粛/季語:葉月・秋めく八月の和名は葉月(はづき)。葉落月(はおちづき)の略、という説がよく知られています。「まだ葉は落ちていないのに」と思われるでしょう。旧暦の八月は、新暦のおよそ九月。ちょうど葉が色づき、落ちはじめるころに...
にちにちめぐり暦

8月29日|蔀(しとみ)と遣戸(やりど)

七十二候:天地始粛/季語:秋の風・夜長寝殿造に壁がないことは、この便りで何度も申し上げることになります。では、外との境には何があったのか。蔀です。格子に板を張った戸で、上へ跳ね上げて、金具で吊る。 開けると、その部分がまるごと外になります。...
にちにちめぐり暦

8月28日|天地始粛(てんちはじめてさむし)

七十二候:天地始粛/季語:秋涼し・夜の秋八月最後の候です。「粛」は、縮む、鎮まる、という字。天地の暑さが、ようやく鎮まりはじめる。七十二候の言葉づかいで、私がいつも感心するのはここです。「涼しくなる」とは書きません。「粛(しゅく)す」——静...
にちにちめぐり暦

8月27日|葡萄(えび)

七十二候:綿柎開/季語:葡萄・葡萄棚いま出回っているのは西洋種ですが、日本には古くから山葡萄がありました。そして重要なのは、色の名として残っていることです。葡萄色(えびいろ)——山葡萄の熟した実のような、赤みの強い紫。「えび」と読みます。海...